ぶるじょわ

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ビル

ビル

私はビルに囲まれた路地裏の人気のない道、電灯すら一つも無い道を通って住処である倉庫の一角に向かっていた。私はどうにか逃げる事に成功した。そう、成功した、だ。

 前回とは違い、今回は危なかった。何しろ片手を失い……しかもそれを元通りにすることが出来ない。片腕を失い、少年が攻撃を仕掛け、それに私が反応良く左手をつかみとったあの攻防。あれしか考えられない。あの一瞬で、少年は身に巣食う悪魔の力を最大限引き出したのだろう。

自身の意思の力が、全く働いてくれない。

再生、精神干渉はおろか、これではいつものように一般人を襲うことすら難しい。

 ……しかたない、こうなっては……

「イヤァ驚いた。悪魔だけじゃなく、まさか天使までいたとはネ」

 声に、私は顔を向けた。気配などは、感知していない。

「異端種ってのは人間のイデンシのトツゼンヘンイか、あるい魔術で変化したものダカラ、数としては結構いるんダ」

 それは狭い道を塞ぐように、ビルの外壁にもたれていた。年齢は中学生か小学生に見える。髪はボブカット、外人なのか青い瞳。

「でも悪魔と天使は、『祝福の地』にいる神が直接こしらえたモノ。見かけることはそうナイ。何しろ人間の深層心理の『絶望の断崖』から迷い出てくるか、神が住むと言われている『祝福の地』から墜とされるかしないと、ここに出現できないんダカラ。物珍しさに、深追いしたカナ?」

 声音は変声期前のソプラノ。彼女が、普通の人間なら私は喜んでその首筋に食いついていただろう。