ネオン
ネオンに照らされる街とは違い、私が歩く道は総じて暗い。電灯すら少なく、月明かりがあっても遠目に何があるのかわからぬほどその闇は深い。
私は今日も、そんな闇深き夜を闊歩している。目的は二つ。一つは獲物。血を吸わねばさすがに参ってくる。もう一つは、目立つため。そう、私を止めようとする者と、私は闘いたいのだ。理由は……長くなる、説明はやめておこう。
昨日、中々観察し甲斐のある者と手合わせした。一人は、その身に悪魔を宿した少年で、もう一人は墜ちた天使の少女。特に、あの悪魔を宿している少年は殺しておきたい。
口の中の牙を鳴らし、私は待つ。敵が網にかかるのを、静かに待つ。
昨夜、あの少年と戦ったのはここ。後ろには住宅街が広がっており、家から洩れてくる電灯がそこに獲物がいることを示している。
しかし、いくら私でもあんな人込みがいる所で獲物を求めたりはしない。ゆっくり栄養補給が出来ないし、目立つのはいいが、自分の正体が特定されるのは困る。よって、私はこうやって暗い道を一人歩くのだ。
ただ、今日ここに来たのは理由があった。あの悪魔を宿した少年がここに来ていないだろうかと思い、足を運んでみたのだ。
だがそれも徒労に終わっ……いや、全くの無駄ではなかった。女性だ。黒のストーレートヘアーを腰までおろし、ビニールの買い物袋をさげ、そこの道を真っ直ぐ入っていく。
こんな夜の時間帯。しかも今は殺人事件が勃発しているというのに……この国の住民の危機管理能力には心底疑問に思える。まあいい、好都合には違いない。
私はその女性をつけることにした。