カップル
……しかし、このような場所はカップルなどが待ち合わせの場所に使いそうなもの。それにしては人間の数が少ない。
いや、遠くに三つ程、人間ではない気配があるが……これだけ遠くにいても隠しきれない程度の実力だ、無視していいだろう。
急に、肌寒さを知覚した。上空の大気が唸りをあげているのが、地上にいる私の耳元にまで届きそうだ。女性が、こちらを振り返る。自分の髪をグイッと引っ張り……かつらが落ち、銀髪が現れた……ということは……
まずい。例の、墜ちた天使だ。
後方にステップするのと同時に、私が立っていた地点は空から降り注ぐ風の槍によって地面が吹き飛ばされ、土煙によって周囲が見えなくなる。土煙の彼方にいる女性は、右腕を天にかざしている。第二撃を放つつもりらしい……この一撃で完全に視界を塞ぎ、二撃目を狙うようだが……まさかこの土煙の中、こちらが自分の姿を捉えているとは夢にも思っていないのだろう。
私は膝に力を入れ、彼女に跳びかかろうとし……ここで彼女と共にいた存在を幸運にも思い出した。そう、少年がいたはずだ。
もし、私が少年の立場なら……私は反射的に上体を屈め、背後に蹴りを放つ。突然体を捻ったため眼鏡が飛ぶが、別に関係無い。これはあくまでカモフラージュ用。